2022年度 ONCC共通講座 (2022.09.29)

「日本伝統和楽器の演奏」 ~箏・尺八の魅力を知ろう~

日時:2022年 9月29日(木曜日) 13:00~15:10
講師:片岡リサ氏 大阪音楽大学特任准教授
:安田知博氏 尺八奏者     
会場:豊中市アクア文化ホール(中ホール)


 第10期生の共通講座が開催されました。講師のお二人には、昨年度の「心を豊かにする音楽科」で講義をしていただきました。大変好評でしたので今回の共通講座にあたり、是非にとお願いしました。


 高橋副理事総合司会で開演しました。最初に猪谷理事長より開演の挨拶がありました。

受講生の皆さん
総合司会の高橋副理事長
猪谷理事長より開演の挨拶

皆さん、こんにちは。
 共通講座ということですけれども、3年ぶりの開催ということになりました。3年前は地域交流ということで二つの地域に分かれ、それぞれの地域の同窓会の皆さん、在校生の皆さんが集まって催しをしながら、交流を深めるという形で行っていました。残念ながらコロナ禍で全ての行事が中止に追い込まれていたのですが、やっと皆さんが一同に会して、このような形で共通講座という催しを開かせていただくことが出来、ほんとに嬉しく思っております。
 今年は4月に入学式も出来ました。そしてこれから多くの行事を予定しており、11月2日にはONCC設立10周年記念行事、11月30日にはふれあい交流祭、12月14日には大学提携講座と今後いろいろと一同に集まっていただく機会が多くなります。コロナ禍で高齢者は自粛自粛ということで、体力も弱り気力も弱りということなんですが、出来るだけ活動していただける場を持ちたいと思います。
 【中略】
 今日は午後からの半日ですが、ゆっくりと楽しんでいただいて、心すっきりとして帰っていただきたいと思います。

【第1部】

 *箏の部

「さくらさくら」の演奏で片岡先生の講義が始まりました。

 箏の長さは182センチあり、桐の木を切って作られています。表の面には箏柱(ことじ)という三角形の柱のようなものを立てています。裏側の左右両サイドには穴が空いており、そこから音が出るようになっています。穴が空いているということは木を182センチに切っただけでなく、中をくりぬいて板を貼り、中が空洞になっていて、弦をはじくと中に響いて両サイドの穴から音がでるという風になっています。

 箏柱を外して弦をはじいても、ただバチバチという音だけしかしませんが、箏柱を立てることによって、音が本体に伝わるようになっています。箏柱の位置を変えることによって音の高さを変えることが出来ます。

 弦は13本あり、曲に合わせて箏柱の位置を変えて音合わせをすることを調弦といい、曲の前には必ず調弦を行います。

 プログラムに載っている「六段の調」、「千鳥の曲」の他に、宮城道雄作曲「祭りの太鼓」、「アメイジング・グレイス」を演奏していただきました。「アメイジング・グレイス」は英語で歌いながら演奏と、すばらしい歌唱も披露していただきました。

 千鳥の曲演奏 ♪♪

*尺八の部

「昼の憩いのテーマ曲」の演奏で安田先生の講義が始まりました。開口一番、ご自身のことを「世界一しゃべる尺八奏者」と言われただけあって、ユーモアを交えた軽快な語り口です。

 尺八は日本の代表的な笛の一つです。日本国内ではそこまでブレイクしていることはありませんが、世界中で大人気です。90年代から「世界尺八サミット」というのが4年に1度世界のどこかで行われています。

 尺八は真竹を根っこから掘ってきて、節を抜いて作ったタテ笛です。リコーダーのようにくわえて吹いても音は出ません。息を吹き付けて鳴らす楽器です。ビンやペットボトルを鳴らす要領に近いかもしれません。あごの形、唇の形が一人一人違うので、同じ楽器を吹いても人によって違う音が出ます。
 指で押さえる穴は、表に4つ、裏に1つで、レ、ファ、ソ、ラ、ドにあたります。レファソラドにない音は穴を半分塞ぐというような方法で作ります。また尺八独特の方法として、息を吹き込む角度を変えることによっても、高さの違う音を出すことが出来ます。

 プログラムに載っている「月光弄笛」、「手向け」の演奏の他に、「笛吹童子」、「夢芝居」、「木綿のハンカチーフ」の演奏を織り込みながら楽しく講義をしていただきました。

 月光弄笛の演奏 ♪♪

【第2部】

*合奏

 春の海の合奏 ♪♪

*ミニ座談会

吉田理事のMCでミニ座談会が始まりました。

ー 箏、尺八を始めたきっかけは? ー

片岡
3~4才頃からピアノを習っていましたが、小学校3年生くらいの時に、近所に箏の先生がおられるのを父が見つけてきました。父が行くはずだったのですが面倒になったとみえ、先生に挨拶をした手前、娘を差し出したというわけです。ピアノの稽古は毎回怒られて少し嫌気が差していた頃に、箏の先生はすごく褒め上手だったというところから始まりました。

安田
子どもの頃から笛類は好きでフルートとかも吹いていました。小学校4年生の頃、熊本盲学校の理科の先生が尺八を吹いたり作ったりという人で、先生に楽器を借りにいっていました。尺八は持っているだけで珍しがられ、音でも出せればヒーローという感じでした。フルートなどと同時進行で吹いていましたが、大学に入って和楽器のクラブに入った頃から面白くなってきました。周りから期待やプレッシャーをかけられなかったのが続いた理由かもしれません。

このあと、声のお仕事でのエピソードや、和楽器の未来などを語り合われました。

 壱越の合奏 ♪♪
高橋俊之理事の閉演挨拶

 高橋理事から閉演の挨拶がありました。 

 皆様、どうもお疲れ様です。箏と尺八のルーツと演奏、お楽しみいただけましたでしょうか?
 年間のカリキュラムに予定されていた講座とはいえ、平素の古巣を離れて本会場まで足をお運びいただき厚く御礼申し上げます。また、カリキュラムに予定されていない特別年度制講座、特別短期講座、懐徳堂記念会協力講座、オンライン講座、さらには各地域の同窓会の皆様にもご案内を申し上げ、たくさんお越しいただきました。
 本年度は本日のような学校行事がいくつも計画されています。皆様の積極的なご参加をお願いいたします。

 これをもちまして、本日の共通講座を終了いたします。どうも有り難うございました。


 多くの参加者から感想をお寄せ頂きました。一部をご紹介します。

  • 和楽器がこれほど魅力的と、今さらながら気づかされました。本日は貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。片岡先生美しい。安田先生、面白い。
  • 素晴らしい演奏と楽しいトークの時間を過ごせました。箏と尺八、長く続いて欲しい和楽器ですね。
  • 想像をはるかに越える楽しい目新しい公演でした。いい秋の一日でした。
  • やっぱり和楽器はいい。心にしみわたる。やっぱりステージはいい。全身が音楽に包まれる充実した時間だった。
  • 生の箏と尺八が聴けて良かった。生の演奏は迫力があった。説明は分かり易かった。アメイジンググレイス最高!尺八のトーク楽しかった。
  • 久しぶりにお箏と尺八の演奏を聞きました。日本古来の音楽もいいものですね。
  • 経験のない話が聞けて勉強になりました。音楽の中国と日本の歴史を知ることができました。私はフォーク世代ですが共通するものがあると思いました。
  • 全くなじみが無かった和楽器の迫力に圧倒されました。
  • 雅な箏、尺八の音にひかれました。マスターするのが難しそうですね。箏、尺八の構造の説明など面白かったです。
  • 箏なり尺八なり楽器の特色の説明をして下さり勉強になりました。日本芸能の伝統を生かしていく努力を忘れてはならないと思いました。たとえ着物がすたれても。
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